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が る おん

仲野温(なかのおん)くんプロフィール!年齢、身長、活動、誕生日など【おんおだばんみき】【モデル・YouTuber・ドラマ・俳優・脚本】


作法委員長の憂鬱、浦風藤内の場合 まだまだ寒気の収まりを見せない初春、咲き始めた梅の香を楽しむ余裕もなく、浦風藤内は一人悩み実習帰りの町からの帰路を歩んでいた。 藤内は忍術学園六年生だ。 漂う物が梅の芳しい香りから、淡い桜色の花弁に変わる頃には愛しい忍術学園とも、共にここで歩んだ友人達とも別れることになる。 だが藤内の頭を悩ませていたのは別離の寂しさ旅立ちへの不安ではなく別の要件であった。 が る おん 一つ上の困った先輩もとい天才トラパー様の気質ゆえ、もう随分と前になるが立花元作法委員長の卒業した時分から実質作法委員会を取り仕切り支えてきた藤内だ。 委員会の長を務める同級生や後輩の委員長代理達も皆それぞれ自分の委員会への思い入れはあるだろうが、藤内は特に自身の作法委員会を愛してきた自負があった。 だが今藤内の頭を悩ませているのがまさにその委員会の事なのだ。 作法委員会には五年生がいない、だから必然的に今の四年生から来年度の委員長代理を選ぶ必要がある。 作法委員会の四年生は、四年い組の黒門伝七と、四年は組の笹山兵太夫だ。 時折、いやわりと頻繁に、喧嘩はするものの、二人とも委員会を深く愛していて何より勉強熱心で、藤内の贔屓目は多分にあるが他の四年生達よりも理知的で大人びているように見えた。 だから後任について何の心配もしていなかったのだ、強いて言うのなら委員長代理の座を争われては困るなあと頭をよぎった程度。 が る おん 『僕が作法委員会の委員長代理を?あはは浦風先輩ってば、まーたらしくないご冗談を!そういうのは伝七がやるべきでしょ』 『僕が、作法委員会の委員長代理ですか?ありがたいお話ですが、もう一度お考え直しを。 先輩らしくないですよ、人を見る目確かでしょう。 兵太夫がいるじゃないですか』 来年度の作法委員会委員長代理を頼むと打診した後輩達から返ってきたのは、藤内が想定していなかった答えだった。 どうしよう、そんな予習はしていない。 元々、委員長代理は笹山兵太夫に任せる気でいた。 六年生達に喰らいついて委員会を率いていかなければいけない代理としての一年間、悪く言えばふてぶてしく良く言えば貫禄と余裕のある兵太夫の方がその任には適任だと考えていたのだ。 二つ返事で引き受けて貰えると思っていた藤内の予習とは裏腹に、兵太夫はさも当然だろうとばかりに笑って首を横に振ったのだ。 ならばと次いで打診した伝七も困ったような顔をしてやはり同じように首を横に振った。 そしてその悩みを抱えたまま、藤内は実習へと旅立ったのだ。 三日間かけて少し考えてみてほしい、と言い残してはきたものの、はてさてどうなったことだろう。 先生へ実習の報告を済ませたその足で、藤内は後輩達を探しに歩き出した。 先に見つけたのは四年い組黒門伝七だ。 図書室を覗いたところ、生真面目で勉強熱心な彼らしく、ぴしりと背筋を正して書物に向かう姿を確認できた。 少しの間黙って見つめていたらこちらに気がついたのか、伝七は書物を棚に戻し足早に藤内に歩み寄った。 が る おん 「ついさっきな。 それで、この間の話なんだけれど」 「委員長代理の?」 藤内が伝七の言葉に肯定の意を込めて頷いてみれば、堅物な後輩はふうと少し息を吐いて、そしてすっと目を伏せてふるりと首を横に揺すった。 「僕の答えは変わりません、お断りさせていただきます」 「伝七」 「作法委員会委員長代理に相応しい華麗さと大胆不敵さと細やかな技術と、兵太夫あいつが全部持っているでしょう。 何故僕が」 頑として譲らない様子の後輩の態度に、藤内は困ったように肩を落とした。 伝七は兵太夫を良くも悪くも意識して張り合ってきたし自分を卑下するような奴ではないし、この所上級生として大分収まってはきたがむしろ多少驕りが過ぎるきらいがあったくらいだ。 そんな伝七のこの言葉、作法委員長代理には兵太夫が相応しいとの考えは今更藤内に何か言われた所で微塵も揺らがないのだろう。 藤内にこの後輩の思いを変える術は到底浮かびそうになかった。 仕方あるまい、とりあえずはもう一人がどうなったか聞いてみるほかないだろう。 藤内は、伝七に苦笑いで別れを告げて図書室を後にした。 もう一人の作法委員長代理候補である四年は組の笹山兵太夫を見つけたのは、作法道具の閉まってある倉庫からそう遠くはない所だった。 委員会の活動かと思い、後輩の労を労おうと言葉の一つでもかけてやるつもりでいたのに。 ふとかち合った兵太夫の視線のせいで藤内のその考えは何処かに飛んで行ってしまった。 「げっ浦風先輩」 「げって何だ兵太夫」 藤内に気 に ら タレ
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